関節の構造

関節の基本構造

可動性連結の関節は、骨の連結部が関節包に包まれています。
内部には関節腔という隙間があり、潤滑油の働きを持ち滑液で満たされています。
骨同士が対面する関節面にはゲル状に硝子軟骨である関節軟骨で覆われています。
関節包の内面には滑膜があり、関節腔に滑液を分泌しています。
また、関節包は連結する骨と骨を繋ぐ靭帯によって補強されています。関節によっては関節腔内に関節円板とよばれる繊維軟骨が存在し関節面同士の適合性を高めながら、関節にかかる衝撃を和らげる機能があります。

関節が動く仕組み

すべての関節は骨格筋によって動かされる事であらゆる運動に貢献しています。各関節の動きには力を増幅するテコの仕組みが作用しています。

関節を動かす骨格筋は力を発揮することで縮み、その力が腱を介して骨を引くことで、関節の運動が起こります。
関節は単独で動く事が出来ず、筋肉が縮む「筋張力」によって可動します。

筋の骨への付着部のうち、身体の根元側を通常、「起始部」、身体の先端側で動きの大きい方を主に「停止部」と呼びます。

テコの仕組みで動く関節

テコには力で得する「力型テコ」、と距離で得する「距離型テコ」があります。
人間の関節は、典型的な「距離型テコ」であり力を加える力点が、力が発揮される作用点よりもテコの支点に近いため、少しの筋収縮でも作用点の負荷を長い距離を動かせます。
その代わり、テコを動かすために必要な力は大きくなります。

関節トルク

支点(関節)を軸にレバーを生じる回転力を関節トルクといいます。筋張力がそのまま外部へ発揮されるのではなく、関節トルクを生じさせることにより、レバーを通じて作用点が外に力を発揮させる仕組みとなっています。

テコの仕組みにおける支点と力点の水平距離をモーメントアームといいます。
筋のモーメントアームが大きくなるほど、同じ筋張力でも関節トルクは大きくなります。
発揮される力は少し有利になりますが、その分負荷を持ち上げるために長い距離を収縮する必要があります。

可動性連結の種類

可動性連結は、連結する関節窩と関節頭の形状によって6つのタイプにわけられます。
可動性連結は通常2つの骨で構成されています。これを単関節と呼び、手根骨や足根骨の関節のように3つ以上の骨で構成される関節は、複関節とよばれます。

基本的に関節面の連結する面積が大きいと連結強度は強くなりますが、可動範囲は小さくなります。
逆に連結する関節面の面積が小さいと連結強度は弱くなりますが、可動範囲は広がります。
また、関節面の形状でも連結強度は異なり、連結強度が弱い関節によっては強靭な靭帯やスタビリティマッスル(肩甲上腕関節におけるローテーターカフの筋群など)が、関節の連結を補強することで安定した状態を保っています。

可動性連結の種類と特徴

球関節
関節頭が半球形の関節。3次元に動く多軸性関節で関節可動域は最も広いものです。連結強度は弱く、強靭な靭帯やスタビリティマッスルで補強されている場合が多いです。
肩甲上腕関節、股関節など

楕円関節
関節頭が楕円形の関節。2軸性関節であるため、関節可動域は広いです。球関節と同様に、関節面の連結する面積が小さいため連結強度はあまり強くないです。
橈骨手根関節など

鞍関節
関節窩と関節頭がともに鞍のような形状をした関節です。縦軸と横軸が交差する2軸性関節で、前後と左右に可動します。連結強度は安定しています。
母指の手根中手関節など

蝶番関節
関節頭が円柱状で蝶番のように連結する関節です。1軸性関節でひとつの方向にしか可動しないものの、連結強度は強いです。
肘関節など

車軸関節
円柱状の関節頭が車軸となり、関節窩の凹面と連結したまま回旋することで可動する1軸性関節です。橈尺関節など、主に平行する骨同士で構成される関節です。
上橈尺関節など

平面関節
関節窩と関節頭がともに平面の関節です。基本的にわずかにズレることはできますが、可動性はほとんどありません。連結する関節面が広いため、連結強度はとても強いです。
椎間関節など


関節可動域は、可動する範囲だけでなく、可動できる方向も関節によって異なります。
屈曲・伸展の1方向のみに可動する股関節のような関節を「1軸性関節」とよびます。
それに対して、前後(掌屈、背屈)と左右(橈屈、尺屈)の2方向に動く橈骨手根関節のような関節を「2軸性関節」、腕を360度回せる肩甲上腕関節のように3方向以上に可動する関節は、「多軸性関節」と呼ばれます。