骨格筋の構造

骨格筋はひとつの細胞である筋繊維が集合して構成されています。細胞間を接着させる結合組織が、筋膜という形で骨格筋の内外を覆い、結合組織の間を細い血管や神経が通っています。
骨格筋はその両端で腱へと移行します。

 筋繊維は筋内膜に埋もれて束となって筋束になります。筋束が太くなると皮下脂肪が薄い場合に皮膚の上から浮き出て見えることもあります。
 筋束はさらに筋周膜に埋もれて束となり筋全体が作られます。筋全体を包む結合組織を筋上膜、もしくは筋膜といいます。


骨格筋のミクロ構造

筋繊維は筋原繊維という微小な繊維が束になることで構成されます。この筋原繊維に骨格筋が収縮する為の仕組みが備わっています。
筋原繊維を構成するのは縦横に並んでいるサルコメア(筋節)です。
サルコメアは、収縮タンパク質である、ミオシンとアクチンが重なり合ったものです。筋収縮の最小単位となります。

筋収縮のしくみ

骨格筋の収縮は、脳からの収縮指令によって引き起こされます。
収縮指令が神経を通して筋に達すると、筋原繊維の周囲にある筋小胞体という袋状の組織からカルシウムイオンが放出され、これが筋収縮のスイッチとして役割を果たします。

このカルシウムイオンが放出されると、ミオシンとアクチンが結合し、筋収縮の力が発揮されます。
筋収縮のエネルギー源であるアデノシン三リン酸が分解されるのはこのタイミングであります。

筋の収縮様式

筋の収縮にはいくつかに分類されます。
その中で特に重要なのが、収縮中の長さ変化から分類した3つのものがあります。

①短縮性収縮
筋が短くなろうと力を出し、実際に短くなる収縮です。

②等尺性収縮
筋が短くなろうと力を出すものの、長さが変わらない収縮です。収縮(筋活動)はするが、短縮(長さが変わる)はしない状態です。

③伸張性収縮
筋が短くなろうと力を出すものの、外力によって逆に伸ばされる収縮です。筋は伸ばされる(伸張)するものの、状態としては収縮(筋活動)しています。

ほかにも
一定の負荷を定速で動かす時の、等張性収縮や、特殊な装置を利用し、関節の速度を一定にした等速性収縮というものもあります。

筋の力一速さ関係

筋は収縮速度に依存して発揮できる力が変化する性質があります。
遅く縮むときは強い力を出せますが、
速く縮むときは強い力を出せません。
また、力一速さ関係は、等尺性収縮や、伸張性収縮にも存在します。
等尺性収縮は縮む速度が遅いので、短縮性収縮よりも強い力を出せます。
伸張性収縮は発揮できる力が最も大きく、3様式の中でも最大です。
引っ張られる状態に耐えるときに最も強い力を出せるのです。

筋の力一長さ関係

また、筋は長さによっても発揮できる力が変化します。筋繊維が中間的な長さのとき、筋力は最大となります。長すぎ、短すぎの状態では、発揮できる力ほ小さくなります。

例えば、肘が深く曲がった状態や伸びきった状態からだと、曲げる力が出にくくなってしまいます。