筋収縮の仕組み

筋収縮の仕組み

筋収縮は、脳からの指令によって引き起こされます。この指令が筋に達すると、筋小胞体(袋状の組織)からカルシウムイオンが放出されます。このカルシウムイオンが筋収縮のスイッチとなります。
放出されると収縮タンパク質であるミオシンとアクチンが結合します。この相互作用によって筋収縮の力が発揮されます。
このタイミングで、アデノ三リン酸(ATP)が分解され筋収縮のエネルギー源となります。これを興奮収縮連関といいます。

エネルギー源であるアデノ三リン酸(ATP)は、筋肉が活動する時のエネルギー源を供給する成分です。摂取したブドウ糖を酸素で解糖(酸化)させることにより、筋肉活動のエネルギー源とします。
ATPには3つのリン酸基が存在しています。
運動をすると、1つのリン酸がエネルギー発生で使われるため、アデノシン二リン酸(ADP)となります。
このリン酸基が一つ外れエネルギーを生み出しているのです。
運動後、リン酸が一つ分岐した直後はアデノシン二リン酸が細胞内に存在します。アデノシン二リン酸もすぐにエネルギーを生み出せるように予備機構を保持しています。
そこですぐに回復させるために重要な働きをするのが、クレアチンです。

クレアチンを摂取することで、人体のエネルギー源であるATPと結合することで
・筋肉の回復が早まる、筋力や持久力のUP
クレアチンリン酸の生成→10秒以内の瞬間的な運動に使われる。
という効果があります。

クレアチンを摂取すると、ATPと結びつきクレアチンリン酸を生成し体の中に貯め込
   む。
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・運動で、アデノシン三リン酸が不足(この時アデノシン二リン酸が発生)。
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・貯め込んだクレアチンリン酸が、アデノシン二リン酸(ADP)と結びつきアデノシン
   三リン酸を生成する。
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・トレーニングの持久力や、負荷の高いトレーニングにより挑戦できる。

というようにクレアチンは身体のなかに常にATPを貯蔵する役目なのです。

クレアチンインスリンの分泌によって身体の中に取り込まれます。そのためブドウ糖を摂取するタイミングで同時に摂取すると吸収率が高まります。
通常はトレーニング前後や食事と一緒に摂取することが大事です。
クレアチンを体内に貯め込むことをローディングといいます。
1週間後などすぐに高いパフォーマンスを出したい場合、
・5g×4回×5日
・2.5g×8回×5日
と摂取することで、吸収効率を上げてパフォーマンスUPに繋げられます。


筋収縮の種類には
・アイソメトリック(等尺性)収縮
・アイソトニック(等張性)収縮
・コンセントリック(短縮性)収縮
・エキセントリック(伸張性)収縮
・アイソキネティック(等速性)収縮
の5つの収縮様式があります。


・アイソメトリック収縮とは、筋が短くなろうと力を出すものの、長さが変わらない収
   縮のことです。例えば動かない壁を押したりといった固定されたものを動かそうと
   する時にこの力は発揮されます。

・アイソトニック収縮とは、コンセントリックとエキセントリックに分類されます。
  コンセントリックは筋肉は短くなりながら、エキセントリックは筋肉を引き伸ばしな
  がら力を発揮します。

・コンセントリック(短縮性)収縮は、筋肉が短くなろうと力を出し実際に短くなる収
  縮です。重量負荷に対抗するのに、十分に力を発揮した時に起こります。
  ポジティブコントラクションとも呼ばれ、たとえばバーベルカールで、肘を曲げてバ
  ーベルを持ち上げるときの上腕二頭筋にこの収縮は起こります。

・エキセントリック(伸張性)収縮は、筋が引き伸ばされながら力を発揮し、重力負荷
  による下降をコントロールするよう筋肉の緊張を徐々に緩める時にこの収縮は起こり
  ます。
  ネガティブコントラクションとも呼ばれ、例えばバーベルカールで、バーベルをゆっ
  くり降ろす時の上腕二頭筋や、ネガティブチンニングのように身体を挙げきってい
  る状態からゆっくり降ろす動作にこの収縮は起こります。

・アイソキネティック(等速性)収縮は、トレーニングマシンを使用し1つの収縮様式
  や、アイソメトリック以外の全ての収縮様式を使います。
  運動の速度や、可動域やフォームを保ちやすい収縮様式です。

このように様々な収縮様式があります。
トレーニングの種類や目的によって、収縮方法を変えることで、よりパフォーマンスUPにも繋がります。
例えばコンセントリックは、ウェイトを持ち上げる方向の収縮ですから、基本的には力を発揮する筋肉の動きになります。そのため、最大筋力や瞬発力などの力を向上させられます。
エキセントリックは筋肉が伸びながら力を発揮する動きです。そのため、筋繊維の損傷が多くなる傾向があります。一度損傷した筋肉が回復することで、筋肉は太くなりますから、筋肥大をするのに向いています。
アイソトニックは器具がなくても、できますから自宅や、外出先でも行えます。また怪我や病気などで関節が動かない場合でもトレーニング可能であり、強化したい部位の意識確認ができるといったメリットがあります。
目的に応じて上記の収縮を意識しながら、プログラムを作っていくことで筋肥大や、最大筋力を挙げていく近道になっていくのです。